筑波大学数理科学研究コア (RCMS) では、分野横断的な研究交流の一助となることを目指し、互いの研究分野の相互理解を推進する場として「RCMS サロン」を開催しています。
今回は「最適輸送理論と応用」というテーマで3名の講師の方々に講演していただきました。
日時:2026年7月29日(水)15:00 ~ 18:00(Tea timeを含む)
場所:筑波大学 自然系学系D棟 509室
15:00 -- 15:15 Tea time
★ 15:15 -- 15:55 永野 幸一 氏(筑波大学数理物質系)
タイトル:「最適輸送理論事始」
概要:18世紀後半のMongeの問題に始まる最適輸送理論は確率測度に関する最適化問題として多種多様な拡がりを見せています。実際に、確率論や経済学などに留まらず、流体力学に関わる偏微分方程式論や、近年では曲率と位相に関する大域Riemann幾何学に重要な貢献をもたらしており、最近では機械学習の分野にも登場しています。ここでは、最適輸送理論の基本的な問題意識を共有した後、どのように最適輸送理論と大域Riemann幾何学が関わるのか、Lott--VillaniとSturmの研究を中心に解説します。
★ 16:10 -- 16:50 高津 飛鳥 氏(東京大学大学院数理科学研究科)
タイトル:「最適輸送問題を大まかに素早く計算する」
概要:最適輸送問題とは、名前の通り(エネルギーなどの意味で)最適に物質を輸送する方法を求める問題です。数学的には確率測度空間上の変分問題として定式化され、具体的には凸集合上の線形関数の最小化問題になります。適切な設定下で最小化因子の存在が知られていますが、一般には一意的には定まらないため、具体的に求めることは難しいです。本講演では「正則化」あるいは「1次元化」を施すことで、最適輸送問題の近似解を求める方法を紹介します。
★ 17:05 -- 17:45 保國 惠一 氏(筑波大学システム情報系)
タイトル:「離散最適輸送問題に対するBregmanダイバージェンス正則化の誤差評価」
概要:最適輸送問題(OT)はエントロピー正則化を施すことで効率良く近似的に解けることが知られている。一方、OTは線形計画問題(LP)であり、LPにエントロピー正則化を施して得られる狭義凸問題の最適値と元のLPの最適値との定量的な誤差評価が与えられている。本研究では、OTに対してダイバージェンスを用いた正則化を考え、その誤差評価を与える。また、本正則化による効果を数値実験で示す。本成果は、榊原航也氏、高津飛鳥氏との共同研究に基づくものである。
17:30 -- 18:00 Tea time
世話人:永野 幸一、石井 敦、川村 一宏(筑波大学 数理物質系)
E-mail:rcms-salon at math.tsukuba.ac.jp ("at" を @ に置き換えてください)
今回のRCMSサロンは科研費基盤研究(C) 24K06704「作用素環・無限次元線形作用素と幾何学的トポロジー」(研究代表者: 川村 一宏)、科研費基盤研究(C) 25K06996「曲率が上に有界な距離空間の大域リーマン幾何学と幾何学的トポロジー」(研究代表者: 永野 幸一)の支援を受けています。
本RCMSサロンは筑波大学大学院数学学位プログラム開設授業科目「数学フロンティア」の対象です。