第10回 筑波大学 RCMS サロン 「数系と折り紙の数学」

筑波大学数理科学研究コア (RCMS) では、分野横断的な研究交流の一助となることを目指し、互いの研究分野の相互理解を推進する場として「RCMS サロン」を開催しています。

今回は「数系と折り紙の数学」というテーマで3名の講師の方々に講演していただきます。

要項

日時: 2022 年12 月8 日(木)15:10~18:10

※15時00分開場、 15時10分開始。

開催方法: Zoom によるハイブリッド形式

場所: 筑波大学総合研究棟B棟1階0110室

参加申し込み: (登録ページ) 参加申し込みは2022年12月1日(木)までにお願いいたします。なお、ZoomのURLはRCMSサロンの数日前に登録者へお送り致します。 

プログラム

15:10–15:40 斉藤朝輝 (公立はこだて未来大学)

タイトル: カオス写像の真軌道計算と、その擬似乱数生成への応用

概要: 倍精度浮動小数点数などの固定ビット長の数表現を使って力学系のシミュレーション(軌道生成)を行うと、丸め誤差などの数値誤差がシミュレーション結果に混入してしまう。このことは、初期値鋭敏性を特徴としてもつカオス力学系のシミュレーションにおいて、特に深刻な問題となりうる。この講演では、適切な次数の代数的数を使って有理数係数の区分的1 次分数写像(区分的線形写像を含む)の真軌道を計算する方法について、背景も含めて紹介する。特に、従来法ではシミュレーションが困難だったBernoulli 写像(2x mod 1 写像)に関して、3 次無理数を使って典型的な軌道と同じ性質を示す真軌道が十分長く生成できること、さらにそれを擬似乱数生成に応用できることを紹介する。

15:55–16:25 三谷純 (筑波大学システム情報系)

タイトル: 折紙の研究分野における数学問題

概要: 折紙の国際会議が定期的に開催されるほどに、折紙(origami)は1 つの研究分野として広い裾野を有している。研究対象には工学的な応用に関するものが多くを占めるが、数学的に興味深い問題もある。たとえば、与えられた展開図が平坦に折りたたむことができるかを判定する問題や、曲線での折り目を扱う問題には未解決なものが多い。本講演では、折紙の研究分野において、とくに数学に関わる諸問題を広く紹介する。

16:40–17:10 金子元 (筑波大学数理物質系)

タイトル: 数のb 進展開の一般化と数論への応用

概要: 整数や実数のb 進展開は様々な形で一般化されてきた。例えば、通常の整数の2 進展開では、非負整数を0 と1 という数字(digit) を使って表示する。一方、使用する数字(digit) に−1 を追加する数系も知られている。この数系はsigned separated binary expansion(SSB 展開) と呼ばれており、効率よく整数を表現できるため、応用数学で活用されている。本講演では、SSB 展開などの数系が応用数学だけではなく、純粋数学のためにも役に立つことを紹介する。

17:25–18:10 ディスカッション

お問い合わせ先

世話人: 金子 元(筑波大学 数理物質系)

E-mail:rcms-salon at math.tsukuba.ac.jp ("at" を @ に置き換えてください)